交通事故の慰謝料・示談金②

1.入通院慰謝料交渉の流れと実態

交通事故に遭った場合の慰謝料の種類としては、大きく分けて、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。入通院慰謝料は、交通事故で怪我をした時に通常発生する慰謝料で、後遺障害慰謝料は後遺障害の認定がされた時に請求できる慰謝料です。このコラムでは、入通院慰謝料について解説します。

交通事故で怪我を負った場合には、通常、まずは通院(入院)し、治療が終わった段階で示談交渉が始まります(なお、治療が終わる段階でなお痛みが残っている時は、自賠責保険会社に対して後遺障害の申請をし、その結果を待ってから示談交渉をするのが通常です。)。

示談交渉の際、弁護士に委任していないケースでは、保険会社が示談案を送付してきます。その際の入通院慰謝料の基準は、自賠責基準や任意保険会社基準などの裁判基準よりも低い金額で提示されるのが通常です。

これに対し、弁護士に委任しているケースでは、一般に通院が終わった段階で弁護士が入通院慰謝料の計算をし、示談案を相手方保険会社に提示します(相手方保険会社が示談案を送ってくることもあります。)。
その金額に対し、相手方保険会社は、裁判基準で算定した入通院慰謝料の額の7割や8割などの金額を提示してくることが多いです。むちうち症に限らず、このような交渉をしてくることが多いと思われます。

それに対して弁護士側も交渉し、入通院慰謝料の金額が決まります。交渉の結果、裁判基準の金額から減額されることなく示談できることもないわけではないですが、示談交渉ですと、概ね裁判基準の9割程度で示談することが多いと思われます。

2.示談金に不服がある場合の対処法

示談交渉での相手方保険会社の金額に納得ができず、裁判基準の満額で入通院慰謝料を請求したい場合には、裁判などの手続をするしか方法はありません。
裁判をすれば、一般に、半年から1年程度はかかることが多いので、裁判を避けて示談をする人が多いと思われます。特に、むちうち症の場合には、裁判でも示談でもそこまで金額に差が出ることがない場合もありますし、早期に解決して欲しいとの要望をされる被害者の方も多いので、私の経験上は、9割以上の方が裁判ではなく示談での解決を選択しています。

ですが、相手方保険会社の提示額が相場よりも少ない場合や、過失割合に争いがある場合など、裁判などの手続の方が適切である場合もあります。いずれの解決がベストかについては、依頼している弁護士によく相談して決めてください。

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