補助金

【事業再構築補助金Q&A】申請要件のわかりにくい部分を解説

事業再構築補助金の公募要領から理解しにくいと感じた申請方法、補助対象者、申請要件、補助金額についての事項を、Q&A形式でまとめました。

申請全般に関するQ&A

問 補助金は、早いもの勝ちなのでしょうか

事業再構築補助金は、現時点で計5回の公募が予定されています。また、予算の規模は異例の1兆円超えです。よって、多少時間はかかっても、審査項目を読み込んで、達成可能な事業計画を練ってから申請することをお勧めいたします。

問 申請から補助金が交付されるまでの流れを教えてください

・申請書類を準備する

・電子申請を行う(公募期間中)

・採択通知を受ける

・交付申請を行う

・交付決定を受ける

・補助事業の実施(設備投資等)を行う※

・「補助事業実績報告書」を提出する

・交付額の確定通知を受ける

・補助金請求を行う

・補助金の支払いを受ける

※通常枠の場合、期間は交付決定日~12か月以内。ただし、採択発表日から14か月後の日まで。

問 申請に必要な書類とは何ですか

通常枠に関するもの
・事業計画書
・認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
・売上高が減少したことを示す書類
・直近2年間の決算書
・ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
上記をPDF化したものを電子申請時に添付します。

ファイルの添付時は、ファイル名に指定がありますので公募要領でご確認ください。
他の枠では追加書類がありますので、こちらも公募要領でご確認ください。

問 認定経営革新等支援機関とは何ですか

中小企業等を支える財務等の専門家のうち、国の認定を受けている個人や団体のことです。商工会、商工会議所、地方銀行などのほか、税理士や中小企業診断士などさまざまな士業が認定を受けています。

事業再構築補助金の申請に必要な事業計画は、認定経営革新等支援機関に相談して策定する必要があり、このことを証明するための確認書を受け取る必要があります。お近くの認定支援機関は、こちらから検索できます。

中小企業庁「認定経営革新等支援機関検索システム

なお、補助金額が3,000万円を超える事業計画を策定する場合は、金融機関と認定経営革新等支援機関と共同で事業計画を策定しなければなりません。(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば金融機関のみでOK)

問 電子申請はどうやって行うのですか

事務局のホームページの「電子申請システム」にログインして行います。

上記のホームページに掲載されている、「電子申請システム操作マニュアル」をダウンロードし、それを見ながら操作を行ってください。

「電子申請システム」へのログインには、原則「GビズIDプライムアカウント」が必要で、未取得の方は取得が必要です。

しかし、新規発行には時間がかかりますので、応募だけであれば、即時発行できる「暫定プライムアカウント」のほうが早く作業が始められます。
ただし、採択後の交付申請では、「GビズIDプライムアカウント」が必要となりますので、いずれにしても取得の手続きは進める必要があります。

補助対象者に関するQ&A

問 中小企業者等にあたる場合でも、親会社が大企業の場合は事業再構築補助金の対象にならないのですか

申請者が中小企業であっても、下記のいずれかにあたる企業であれば、「みなし大企業」として、事業再構築補助金の対象になりません。

  1. 一つの大企業(資本金10億円以上)に、発行済株式の総数の2分の1以上を保有されている
  2. 複数の大企業に、発行済株式の総数の3分の2以上を保有されている
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている
  4. 発行済株式のすべてを上記1~3に該当する中小企業者が所有している
  5. 上記1~3に該当する中小企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている

また、確定している直近3年分の各事業年度の課税所得の年平均額が「15億円」を超える中小企業者は、「みなし中堅企業者」となり、中堅企業者として事業再構築補助金を申請することになります。
みなし中堅企業者は、中小企業卒業枠への応募はできず、補助率も中堅企業のものを適用します。

問 個人事業主は対象になりますか?

中小企業者等の要件にあてはまる個人事業主であれば、対象になります。中小企業者等の要件には資本金等の額と「常時使用する従業員数」による要件がありますが、個人事業主の場合は、後者で判定します。

問 一般社団法人、一般財団法人は事業再構築補助金を申請できますか?

できます。

申請要件に関するQ&A

問 新分野展開、事業転換、業種転換の違いがよくわかりません。

3つとも新しい事業に取り組むことは共通しますが、その新しい事業の「産業分類」が分岐点となります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

問 通常枠で、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つのどれを選べばよいかわかりません。選び方にコツはありますか?

事業再編は、会社法上の組織再編行為に、他の4つのいずれかの類型で事業再構築を行う場合が対象になります。
よって、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換の4つの選び方が重要になります。

この4つを選ぶポイントは、

  • 新分野展開・事業転換・業種転換の違い
  • 業態転換にしかできないこと

を知ることで自ずと見えてきます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

問 新しい商品等のアイデアがないのですが、利用できますか?

事業再構築要件ではいずれの類型にも「新規性」の要件があるため、今やっていることをそのままグレードアップさせるという使い方はできません。

ただし、「業態転換」の「提供方法の変更」であれば、商品やサービスに対する新しいアイデアがなくとも、提供方法(販売方法)を変更することで利用できる可能性があります。

ただし、その場合は、既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの、または、非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うものである必要があります。

経済産業省のHPでは、ヨガ教室をオンラインサービスに切り替える例(事業再構築指針の手引き「6-5」)が掲載されていますので参考にしてください。

経済産業省HP:事業再構築補助金

問 付加価値額とは何ですか?

「営業利益+人件費+減価償却費」です。
営業利益とは、損益計算書上で、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもの、つまり「本業での儲け」になります。
これに人件費と減価償却費が加わりますので、付加価値額を上げるには、収益を上げつつ、コストを見直すが、人件費と設備投資額だけは増やすというようなやり方になると考えられます。

なお、付加価値額の要件には、事業全体の増加率ではなく、従業員一人あたりの増加率でも判定することができます。
ただし、従業員を解雇して要件を達成した場合は不採択・交付取り消しとなる可能性がありますのでご注意ください。

補助金額に関するQ&A

問 補助金の下限が100万円ですが、これより低い額は申請できないのでしょうか?

申請できません。補助率が3分の2であれば、150万円以上の事業である必要があります。100万円以下の補助金を受けたい場合は、従来からある、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金をご検討ください。

問 補助金額の大きさで注意する点はありますか?

3,000万円を超える場合は、金融機関及び認定経営革新等支援機関と共同で事業計画を策定しなければなりません。
金融機関が認定経営革新等支援機関であれば、金融機関のみと共同して事業計画を策定すればOKです。

他に、1,000万円を超える補助金額で建物や設備を取得する場合は、自然災害による損害保険に加入することに同意しなければなりません。(共済でも可。小規模企業者は保険加入に代わる取り組みで可)

問 中小企業卒業枠やグローバルV字回復枠のほうが補助金額が多いので、そちらにチャレンジしたほうが得なのでしょうか?

中小企業卒業枠とグローバルV字回復枠は、通常枠の上乗せです。不採択となっても通常枠で自動的に再審査されるため、チャレンジする価値は多いにあると思います。しかしながら、補助金を受け取ったけれど目標を達成できなかった場合は、上乗せ額の返還義務が生じる場合があります。

また、卒業枠で、一時的に中堅企業や大企業に成長した後、正当な理由なく事業規模を縮小をさせて中小企業に戻った場合、5年間は中小企業者等向けの補助金等を利用できないペナルティもあります。

問 交付申請の際、消費税はどうなりますか。また受け取った補助金に税金はかかりますか?

税抜きで申請してください。受け取った補助金には、法人は法人税等、個人や所得税等がかかります。(消費税は不課税取引となります)
補助金で固定資産を購入した場合は、圧縮記帳という処理で、税負担を将来に繰り延べることができます。こちらの記事をご覧ください。

その他のQ&A

高い評価を得るためのポイントは、

  • 審査の項目を知ること
  • 加点要素があるときは取りこぼさないようにすること

の2点にあります。
こちらの記事をご覧ください。

問 公募前からすでに事業再構築にあたる取り組みを始めているのですが、これまでに支払った経費等でも補助金はもらえますか?

令和3年2月15日以降の設備の購入契約等であれば、補助対象になる可能性があります。ただし採択とは別に、事務局の承認を受ける必要があります。承認が必要になる分の手間が生じますので、これから取り組みを始める方は、交付決定を受けてから始めましょう。

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