遺産分割は、親族同士が財産を巡って意見をぶつけ合わなければならず、当事者の方にとってはストレスの大きな手続きです。
遺産分割を早期に完了するには、できる限り揉めないこと、万が一揉めてしまった場合でも速やかに事態を収拾することがポイントになります。
今回は、遺産分割を早期に完了するための留意点として、トラブルの予防策と対処法について解説します。
遺産分割で揉めないための対策は?
相続人同士のトラブルが発生することなく、平和に遺産分割を終えるのが理想であることは言うまでもありません。
そのためには、建設的に話し合う姿勢や、生前の相続対策などが重要になります。
論点を整理して建設的に話し合う
遺産分割トラブルは、多くの場合、相続人同士が感情的に意見をぶつけ合うことによって発生します。それを避けるためには、遺産分割における論点を整理して、順序よく建設的に協議を進めることが大切です。
- どのような遺産が存在するのか
- 法定相続分はどうなっているか
- 特別受益や寄与分を考慮すべきかどうか
- 各遺産について、各相続人はどのような希望や優先順位を持っているのか
といったポイントについて整理を行い、すべての相続人が納得できる落としどころを探っていきましょう。
遺言書などで相続対策を行うのが望ましい
遺産の分け方についての揉め事を避けるためには、遺言書を作成するなどして、生前の段階であらかじめ遺産の分け方を決めておくことが有効です。
遺言書で配分が決定された財産については、遺産分割の対象から外れますので、分割方法を巡ってトラブルに発展することはなくなります。
少なくとも主要な財産については、遺言書の中で配分を決めておくとよいでしょう。
チェックポイント
遺言書を作成すれば、財産の分け方を自由に決めることができますが、あまりにも偏った遺産配分は避けた方が無難です。
遺産配分に不満を持った相続人が「遺留分侵害額請求」を行ったり、遺言の無効を主張したりした場合、結局相続人同士のトラブルに発展してしまいます。なかなか難しい場合もありますが、すべての相続人の立場や感情に対して、ある程度配慮した内容の遺言書を作成することが望ましいでしょう。
遺産分割で揉めてしまった場合の対処法は?
実際に遺産分割トラブルが発生してしまったら、当事者だけでの話し合いで解決することは困難です。
その場合は、弁護士を仲介者として引き続き協議を行うか、遺産分割調停を申し立てましょう。
弁護士を介して協議を行う
弁護士は、客観的・専門的な立場から、遺産分割に関する論点整理を行います。さらに、相続人間の妥当な落としどころを探る調整役としての役割も果たします。
弁護士に遺産分割協議の仲介を依頼することで、再び冷静に話し合いができるようになり、結果的に早期妥結に至るケースが多いです。
遺産分割調停を申し立てる
直接の協議では解決の見込みがないと思われる場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することも有効です。
参考:
遺産分割調停|裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
遺産分割調停では、調停委員が間に入り、各相続人の言い分を公平に聞き取ったうえで、調停案への合意を目指します。
客観的な立場の調停委員を介することで、冷静な話し合いが期待できます。
また、万が一調停が不成立となった場合にも、家庭裁判所が「審判」によって結論を示すため、最終的には遺産分割トラブルを解決することが可能です。
チェックポイント
遺産分割協議や調停を早期に終結させるためには、各相続人が少しずつ妥協して歩み寄ることが大切です。
譲ってもよいポイントで妥協することを交渉材料にして、譲れないポイントではきちんと意見を主張するといった具合に、メリハリを付けて協議・調停に臨むとよいでしょう。
まとめ
遺産分割を早期に完了するためには、可能な限りトラブルの予防に努め、万が一トラブルが発生した場合には、冷静な話し合いにより迅速に事態を収拾することが大切です。
弁護士にご相談いただければ、遺産分割トラブルを予防するための相続対策や、遺産分割協議の仲介など、さまざまな観点・方法により遺産分割の早期完了をサポートいたします。 円滑に遺産分割を終えたいとお考えの方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。