① 遺産分割で必要とされる弁護士費用と相場
一般に、弁護士費用については、昔に日本弁護士連合会が設定していた基準に基づいて算定する法律事務所も多いかと思われます。もっとも、現在は弁護士費用は自由化されており、上記の基準とは別の基準を使っているところもありますし、様々かと思われます。
あえて弁護士費用の相場という表現をするならば、やはり日本弁護士連合会が設定していた基準を挙げることになると思われますが、この基準だと高くなりすぎるケースや安くなりすぎるケースもあるので、弁護士費用は個々の事案、個々の事務所によるというのが正しいと思われます。なお、名古屋では着手金報酬金方式が多い印象ですが、東京ですとタイムチャージでもやっていると聞いたことがあります。
弊所では、基本的に昔の日本弁護士連合会が設定していた基準を参考に、着手金報酬金方式で算定することとし、事案によっては着手金を減額したり一部を報酬金に回したり、報酬金を固定としたりといった柔軟な対応をしています。
② 遺産相続の弁護士費用は誰が支払うの?
遺産分割において弁護士費用は依頼した方が支払うことになります。交通事故などの相手方に損害を与えたような事案においては弁護士費用の一部を相手方に請求することができる場合もありますが、遺産分割において弁護士を依頼した場合には自己負担となります。もちろん、交渉して相手方負担とすることができる場合もあるかもしれませんが、法律的には自己負担ですので、相手方負担とできるケースは稀だと思われます。
③ 相続で弁護士費用が高額になるケース
弁護士費用が高額になるケースとして最も典型的な例としては、遺産総額が多い場合が挙げられます。経済的利益の何%といった基準ですと、遺産総額が多いほど弁護士費用は高くなることになります。他に、事案が複雑である、長期化が予想される、相続人が多数いる場合などには弁護士費用が高額になる可能性があります。
④ 相談料
昔の日本弁護士連合会の基準を参考にして、名古屋では30分5500円(税込)で対応している事務所が多いと思いますが、事務所によってはもっと高いところもあるかもしれませんし、最近は無料で相談対応をするところも増えてきています。電話相談やWEBを使ったオンライン相談も増えてきているという印象です。
⑤ 着手金
着手金報酬金方式で弁護士費用を考える場合には、まず依頼するのに着手金がかかります。昔の日本弁護士連合会の基準だと経済的利益の何%といった金額になります。たまに誤解されるのが、「着手金=手付け金では?」という点です。要するに、最初に支払った着手金は、後から発生する報酬金の金額から差し引くのでは?という誤解です。着手金は手付け金とは違い、報酬金から差し引くということはしません。
なお、日本弁護士連合会が設定していた基準においては最低着手金が11万円(税込)とされています。最低着手金の金額は個々の事務所によると思いますが、設定している事務所が多いと思われます。
⑥ 報酬金
着手金報酬金方式で報酬金を考えると、昔の日本弁護連合会の基準ですと、経済的利益の何%という基準になります。
報酬金の算定基準となる経済的利益の金額について、たまに、法定相続分を差し引くのか、という問い合わせがあります。弊所では法定相続分を差し引くといったことはしません。法定相続分で遺産分割をすることも困難なケースも多々あるからです。また、法定相続分を差し引くと経済的利益が0やマイナスになることもあり無事遺産分割が終了しても報酬が0になるケースが多々発生する可能性がありますが、それは適切な報酬ではないという観点もあります。
⑦ 実費
実費(実際にかかった経費)は依頼者が負担するとしているところが多いと思われます。弊所でも実費は依頼者負担とさせて頂いています。かかる経費の代表例としては、郵送代、交通費、戸籍取得費用、預貯金の取引履歴・残高証明書の発行手数料、調停申立ての際の印紙代などが挙げられます。
⑧ 日当
日当は、遠方に出張する際に発生する、着手金・報酬金とは別の一種の弁護士費用です。日当についても個々の事務所によって異なるとは思いますが、概ね1万円~5万円が相場観だと思われます。
⑨ まとめ
本コラムでは、「遺産分割の弁護士費用どのくらいかかる?」を記載しましたが、いかがでしたでしょうか。相続でお悩みの方は、弁護士法人北澤総合法律事務所(愛知県弁護士会所属)までお問い合わせください。