1.示談金・慰謝料の相場
刑事事件の弁護をしていると、示談交渉をする場面に多々遭遇します。
一般に、覚醒剤取締法違反などの被害者が存在しない犯罪については、示談はしようがありませんが、窃盗罪や傷害罪など、被害者がいる犯罪については、示談をするとかなり有利になるため、資力があれば示談交渉をすることになります。
「示談金(慰謝料)の相場ってあるのですか?」とよく聞かれますが、相場はあってないようなものだと思っています。もちろん罪の重さや、実際の損害がどれだけ出ているかということなど、様々な要素を考慮して決めるべきものですし、なんとなくの相場観というのはありますが、示談交渉での示談金は、結局のところ、被害者が許してくれる金額ですので、被害者次第なところが大きいです。また、加害者側の資力がないとそもそも示談金を提示できませんので、加害者側の資力も重要になってきます(夫婦間のトラブルや、被害者側が示談金の受領を強く拒んでいる場合などの場合には、稀に示談金を支払わずに示談することができる場合もあります。)。
2.示談金・慰謝料の実態
私の経験でも、なんとなくの相場観の範囲内の金額で示談できることも多くありますが、被害感情が大きくて相場観を大きく超える金額での示談になることがたまにあります。
示談するとすぐに釈放され不起訴処分となる(前科がつかない)ことが多いのも実情ですので、それを獲得するためにどれだけの金額を支払うかというのをよく考えなければなりません。
3.示談金・慰謝料の交渉方法
示談交渉において、当然のことながら、加害者側は低い金額で、被害者側は高い金額で示談したいと思うのが通常ですので、示談金の交渉の際には金額の交渉があるのが通常です。示談金については、加害者側が初めに提示するのが一般だと思われますが、この時最初に提示する金額は重要なものとなります。刑事弁護の示談交渉に限らず、一般に、金額は、高く提示した方がまとまりやすいが、金額が上がる可能性がある、低く提示した方がまとまりにくいが、金額が下がる可能性がある、ということはいえると思います。
そのため、示談金を低額に抑えたいのであれば、まずは低めに提示しなければなりませんが、あまりに低い金額だと(被害者にとって低いと思うような金額だと)、被害感情を逆撫でしてそれだけで示談交渉が決裂となる可能性もあります。
対応してくれている弁護士に、示談のメリット、デメリット、見通し等についてよく相談し、示談金の金額を決めてください。